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例題だけやれば十分
チャート式は、1ページに基本例題or重要例題とその答え、そして例題の類題である練習問題がまとめられています。各単元の最後には、レベルの高い演習問題がついています。このように問題量は豊富ですが、解くのは例題だけで十分です。春から勉強を開始するならともかく、センター試験がもう近づきつつある時期からすべての問題を解いていては、到底本番まで間に合いません。そして、チャート式を通して学んでほしいのは典型問題の解法の流れなので、例題とほぼ同じ解法である練習問題や、解法習得だけを考えたらレベルが高すぎて効率が悪い演習問題は、解く必要性があまりありません。例題を一通りこなせば、センター~中堅国公立で通用する数学の基礎力は身に付きます。演習問題までやるのは、旧帝大や上位私立の数学受験を目指す人だけで十分だと思います。
反復勉強法でチャート式を制覇
チャート式を繰り返し解くといっても、ただ闇雲にやっていてはなかなか力がつきません。できるだけ効率的に解法を習得できるようにしましょう。
まずは、初見で一通りすべての例題に手を付けましょう。その時、できた問題には◯を、出来なかった問題には✕をつけます。出来なかった問題は模範解答を写経のように何度も雑紙などに書き写して、解法の流れを頭に染み込ませます。一周目で出来なかった問題すべてでその作業を終わらせたら、二周目に入ります。今度は一周目で✕をつけた問題だけを解いていってください。また、解けた問題には◯を、解けなかった問題には✕をつけ、解けなかった問題の解法を「書き写し」してください。例題を解くステージ→間違えた例題の解法を「書き写し」するステージのプロセスの繰り返しで、✕がなくなるまでチャート式を反復します。
しかし、チャート式のボリュームは結構あるので、「書き写し」ステージが長すぎたせいで、次の例題を解くステージに入る頃には「書き写し」ステージの序盤でやった解法が頭から抜けてしまっている、という事も生じ得ます。それを防ぐために、「書き写し」ステージは一気に行うのではなく何回かに区切って行うようにしましょう。そして、定期的な復習により解法を長期記憶として頭に定着させるようにします。この復習の計画は、「エビングハウスの忘却曲線」※に基づいて行います。
例えば、今日は例題の2、6、9、15を「書き写し」するとします。そしたら、明日には例題の17、23、28、31を「書き写し」するのに加えて、その前日やった2、6、9、15も復習します。復習とは、その問題を見た瞬間に解法の流れをイメージできるかの確認と、それができなかった問題の再「書き写し」を指します。このように、前日にやった例題を翌日に復習するようにし、それに加えて3日後、1週間後にも復習するようにします。「書き写し」ステージが長くなってしまう場合には半月後も復習します。復習の間隔をだんだん広げるようにして取り組むことで、長期記憶が形成されやすくなります。
※ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによってつくられたグラフで、人間が学習した内容を、時間経過によってどれくらい忘れていくのか示したものです。これによれば、人間が学習した記憶は20分後に42%、1時間後に56%、1日後に74%、1週間後には77%失われます。つまり、人間は覚えたことの大半を1日も経つと忘れてしまいます。しかし、1日後が74%なのに、1週間後は77%であり、6日間で3%しか記憶が失われていないということもわかります。これは、人間が記憶したことの大半は短期記憶にすぎないが、一方で長期記憶として残るものも確かに存在する、ということを示しています。