地元を離れて東京へ。東女で獲得した新たな視点とは。

はじめに

東京の大学に進学することについて、どんな風に感じますか? 東京でのキャンパスライフを夢見てワクワクしている高校生の方も多いかもしれませんね。そこで今回は、東京女子大学に通う学生インタビュー企画の第三弾として、地元を離れて学生生活を送る東女生にお話を伺いました。


ユニバーサルデザインを実践的に学び、考え方や行動が変わりました。

3人目は、現代教養学部心理・コミュニケーション学科 コミュニケーション専攻4年の菊池凜花さんです。

──東京女子大学に進学した理由をお聞かせください。
高校の担任の先生に勧められて東京女子大学を知りました。大学について調べてみたところ、私が興味を持っているコミュニケーションやメディアの分野に加え、幅広い分野の学びができることがわかりました。他にも、学内に学生寮があり、民間の学生向けマンションより経済的であること、附属の中学・高校がなく内部進学生が存在しないため、全員のスタートラインが同じであること、キャンパスが美しいことなど、数多くの魅力を知り、入学を決意しました。
──女子校出身の菊池さんにとって、女子大学への進学はごく自然な選択だったそうですね。
通っていた高校が女子校で、性別関係なく、互いの能力を補い合いながら積極的に活動することができました。そんな女子校の雰囲気に心地よさを感じていたこともあり、進学先として女子大学を選びました。
ジェンダー問題が活発に議論できる現代だからこそ、「男性は○○、女性は○○」という性差によるステレオタイプが取り払われた環境下で、様々なことに挑戦する経験ができることが女子大の強みだと思います。

──心理・コミュニケーション学科 コミュニケーション専攻※1で、特に印象深い学びは何ですか?
「ユニバーサルデザイン」の授業です。「ユニバーサルデザイン」とは、性別や年齢、身体の状況、国籍・文化などの様々な違いに関わらず、誰にとってもわかりやすく使いやすいデザインのことです。
授業では、ユーザーにとっての使いやすさに重点を置いた「人間中心設計」を軸に学びました。
この授業では、ユーザーを理解するための手法として、インタビューやアンケート、フィールドワークなどの調査方法を学び、調査を通して集めたユーザーの意見を反映したデザインを自ら考え、3Dプリンタを使ってプロトタイプ(試作品)を制作します。最終的には、プロトタイプのクオリティや使用感についてのフィードバックも受けます。一連のプロセスを経て「ユニバーサルデザイン」を実践的に学んだことで、様々な製品やサービスに対する見方が変わりました。

※1……心理・コミュニケーション学科コミュニケーション専攻の学びは、新設の社会コミュニケーション学科へ引き継がれます。
──「ユニバーサルデザイン」の授業で実際に制作したプロダクト(製品)について教えてください。
脳性麻痺を持つ方のための補助ツールを製作しました。私たちのグループでは、対象者にヒアリングを行ったり、実際に動きを観察したりする中で、脳性麻痺を持つ方の「筋緊張」に着目しました。ハンカチのような柔らかい物を持つ際、私たちは手の力を加減しながら無理なくつかむことができます。しかし、脳性麻痺を持つ方の場合は、筋緊張が高くなることで指先に力が入りすぎたり、姿勢崩れも起こしたりして他の動作ができなくなります。そこで、ハンカチやICカードを手首にはめて携帯し、より手の自由度を上げることのできる装具を発案しました。
現状ではデザイン面での改善点が多く、実用化には至っていません。しかし、ハンカチを持つことで生じる「筋緊張」には、ヒアリングをした対象者本人も気づいていなかった点でした。また、作業療法士や理学療法士の方々からも着眼点を評価してもらえ、大きな手応えを感じられました。

──こうした学びを通じて、あなたはどんな風に成長できたと感じていますか?
例えば、脚が不自由であっても車椅子を使えば自由に動き回れるように、健常者/障がい者の定義というのは、個人の身体機能で決まるものではなく、社会や環境によって変わるということが理解できました。この考えは、ドナルド・ノーマンの著書『誰のためのデザイン?─認知科学者のデザイン原論』に記された「ヒューマンエラー? いや、デザインが悪い」の記述から学んだことです。問題を誰かの責任にするのではなく、「その問題が生じた環境的要因は?」「問題が起きる頻度を減らすには?」と社会や環境の面から課題解決を図るようになりました。
私は大学内の学寮で寮生委員を務めているのですが、寮でのルールを破ってしまった人に対しても、ただ注意するだけではなく、学寮生向け「ご意見フォーム」を作り、集めた声を反映して環境の面から改善を行うなど、実生活でもこの考え方を活かして行動するようになりました。
──東京女子大の良いところを教えてください。
1つ目は、他学科・他専攻の授業や、「武蔵野地域5大学単位互換制度」を利用して他大学の授業を履修できることです。私は、他専攻である経済学専攻や心理学専攻の授業に加え、成蹊大学で文化政策についても学びました。自分の学科・専攻の学びを深められるだけではなく、興味の赴くままに様々な学びを得られています。
2つ目は、学習環境が整っており、設備が充実していること。Adobeの各種ソフトや一眼レフカメラ、3Dプリンタ等を自由に利用できます。このような設備を活用し、学生は動画の撮影・編集やアプリ開発などをしています。受験生向けVRオープンキャンパスを開催した学生もいました。
3つ目は先生方からの手厚いサポートがあること。授業のみならず、自身がビジネスコンテストに挑戦する際も親身にアドバイスをくださり、入賞することができました。

──地元を離れて東京で生活してみて、感じたことを教えてください。
芸術に触れる機会には地域格差があると感じています。都内の大学に進学したことで、美術や音楽などのイベントに気軽に参加できるようになりました。新しい価値観や文化に触れられる毎日を、とても貴重で素晴らしいものだと感じています。
また、東京は、プレッシャーを感じることなく、女性が気軽に手を挙げて何事にも挑戦できる機会が豊富です。自分に合っている環境だと感じたため、このまま東京で就職することを決意しました。
──将来の夢や目標はありますか?
私の所属するゼミの担当教授のように、既存の考え方に捉われることなく知識や価値観を更新し続けられる大人になりたいです。IT企業に内定し、来春からはSEとして勤務する予定ですが、多角的かつ俯瞰的に物事を捉えて課題解決ができる社会人になることが目標です。

おわりに

いかがでしたか? 菊池さんにとって東京女子大学は知識とスキルの双方を獲得し、新たな価値創造にチャレンジできる場所のようです。東京女子大学の学びについてもっと知りたい方は、大学公式サイトや大学公式YouTubeをご覧ください。
また、記事に登場した菊池さんが出演している学生対談動画もあるのでチェックしてみてくださいね。

この記事を書いた人
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