「税理士」ってどんな仕事? 現役の税理士さんに高校生がインタビュー!

はじめに

「税金」はなぜ必要? 「税理士」ってどんな仕事?
2022年から高校で金融教育が義務化されたことで、お金に関する様々な知識にふれる機会は増えたものの、まだいろいろな疑問をもっている高校生は少なくないはずです。
そこで今回は、税金に関する専門家として活躍されている税理士さんに、高校生が直接質問していく、“現役高校生×現役税理士さん”によるトークセッションをオンラインで開催しました。税理士という職業について深掘ってみましたので、ご覧ください!

お話をうかがったのはこの方々!

(写真左)中村 桃華(なかむら ももか)税理士
(写真右)齊藤 舜(さいとう しゅん)税理士

トークセッションに参加してくれた現役高校生のみなさん!

(写真左)TAKUROさん 高校3年生
(写真右)るあさん 高校2年生

税金とは? そして、税理士ってどんな仕事?

TAKUROさん:中高生が「税金」といわれてイメージできるのは「消費税」くらいですが、そもそも「税金」とはなんですか?

齊藤税理士:「税金」とは、社会づくりにかかせないお金で、国民が税金を納めることは憲法で定められた義務です。税金は、国や地方公共団体が国民の生活を支えるために使っていて、例えば、病気やケガで病院に行ったときの医療費、介護などの社会保障費、警察や学校などの公共サービスなどに充てられています。

るあさん:税金がなかったら世の中はどうなってしまいますか?

中村税理士:多くの公共サービスが有料になったり、医療費や教育費などが今よりも高額になったりします。例えば救急車は、基本的に無料で呼ぶことができますが、税金がなければ有料になります。つまり税金とは、私たちが安心して暮らせる社会をつくるために欠かせないお金といえます。

るあさん:では、税理士とはどんな仕事ですか?

齊藤税理士:税金の専門家として税理士だけが行える独占業務は、3つあります。一つ目は、納税者に代わって税金を申告する「税務代理」です。二つ目は、確定申告書などの「税務書類の作成」。そして三つ目が、納税者の質問に回答やアドバイスをする「税務相談」になります。

TAKUROさん:税金以外の業務はあつかっていないのですか?

中村税理士:企業が事業を譲渡するM&Aや、起業して融資を受ける場合のサポートなども税理士の仕事です。ほかにも、知的障害や精神障害、認知症などによって判断能力が十分でなくなった人の財産管理を行う成年後見人を務めることで、税理士は社会に貢献しています。

TAKUROさん:税理士という仕事のやりがいを教えてください。

齊藤税理士:亡くなった方の財産を引き継ぐときに相続税という税金が発生する場合があるのですが、財産の評価はとても難しく、調査や書類集めには手間がかかります。そういった業務を担当し、お客さまから「自分たちだけではできない手続きだったので、とても助かりました」という感謝の言葉をいただいたとき、税理士という仕事がとても誇らしく感じますし、やりがいを感じます。

TAKUROさん:仕事のスケジュールを教えてください。

齊藤税理士:毎日同じではないですが、例として私のある1日のスケジュールを紹介します。その日は8時半頃に出社すると、10時頃までメールのチェックや電話対応。それから13時頃まで、午後に予定している顧問先である会社の決算報告の準備を行いました。その後、昼休憩と移動を挟み、15時から16時半まで決算報告と来期の見通しについて打合せを行いました。17時半に戻って再びメールのチェックや書類の整理。19時から1時間ほど、お客さまから預かった会計資料を入力する記帳代行業務を行って帰宅しました。

TAKUROさん:税理士の資格を取得したら、どんな就職先が多いですか?

中村税理士:やはり税理士事務所が多いと思います。そのほかにも、企業の財務や税務を管
理する部門への就職、経営コンサルティングを行っている企業に就職するパターンもあり
ます。

齊藤税理士:資格を取得したら就職せず独立開業できるというのも、税理士という仕事のひ
とつの魅力だと思います。

税理士になるために、今からできることって?

TAKUROさん:どうすれば税理士になれますか?

中村税理士:税理士試験に合格して、税理士資格を取得する必要があります。税理士試験では、会計学に属する2科目と税法に属する3科目の計5科目の合格が必要です。資格を取得する前後で、2年以上の実務経験を経て税理士会に登録され、税理士として認められます。

るあさん:税理士になるため、高校生のうちからどんな準備ができますか?

齊藤税理士:まず、税理士という仕事についてよく調べてみることではないでしょうか。身近に税理士をやっている方がいるなら、直接話を聞いて理解を深めてみることも大切だと思います。

中村税理士:会計学に関する科目である簿記論と財務諸表論は、受験資格要件がないので、高校生でも受験することができます。なので、例えば簿記の勉強を高校生のうちからはじめておくと、合格への近道になると思います。

中村税理士:ここまで私たちの話を聞いてみて、TAKUROさんとるあさんは税理士になりたい気持ちが高まりましたか?

TAKUROさん:人としっかり向き合うことが大切な仕事だとわかって、なりたい気持ちが高まりました!

るあさん:私も、人の心に寄り添った仕事ができるのがすごくいいと思いました。ぜひ税理士をめざしたいです!

齊藤税理士:AIの進化で、将来、税理士の仕事はなくなるかも、といったニュースを耳にしたことがあるかもしれません。しかし、お二人がおっしゃったように、税理士の仕事は人と人が向き合ってコミュニケーションをとりながら進めていくことがとても大切です。そうした業務はAIで自動化することのできない、この仕事ならではの醍醐味といえます。中高生の皆さんも、そうした部分に魅力を感じていただいて、税理士をめざしていただければ嬉しいです。

おわりに

現役高校生と現役税理士さんによるトークセッションはいかがでしたか?
今回の記事を通じて、高校生の皆さんの疑問が少しでも解消されているとうれしいです。そして、トークセッションをきっかけに税理士という仕事に興味をもった人は、将来の選択肢に加えてみてください!

税理士という仕事についてもっと詳しい情報を知りたい人は、ぜひ日本税理士会連合会のホームページをご覧ください。また、今回の記事についてどんな感想をもったか、下記のアンケートにご協力お願いします。皆さんの声を聞かせてください!

この記事を書いた人
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