実はつながっている! 「観光」「都市」と建築の学び!!

はじめに

「観光」や「都市」といった分野に興味があるけれど、大学でどんな学部や学科を選べばいいのかわからないという人はいませんか?
実は、これらの分野と深くつながっているのが「建築」の学びです。そこで今回は、観光の観点から建築や都市のデザインについて研究している、東京工芸大学 工学部・建築学系 建築コースの香月歩先生にお話しをうかがいました。


建築を学ぶためには、文系の知識も大切

東京工芸大学工学部建築学系建築コース
建築意匠Ⅱ研究室 香月 歩 准教授

――香月先生は、どんなきっかけから建築に興味をもつようになったのですか?
母が自宅のリフォームや建て替えに興味をもっていたので、建築家の設計した住宅やリフォームについて特集したテレビ番組や雑誌を、よく見ていました。私も一緒に見ているうちに、「建築の設計って面白そうだな」と思うようになりました。

――大学で建築を学ぶためには、どのような知識が必要でしょうか?
建築には理系の知識が必要です。建物の構造や強度なども学びますので、物理の知識が重要だと思います。ですが、すごく難しい問題が解けなければいけないわけではありません。例えば、細長いものが揺れたらどうなるのか、といった建物の構造を考えるうえで欠かせない日常的な感覚を、物理を通じて理解しておくことが大切です。
ただ、理系の知識だけあればいいかといえば、そうではありません。建物を設計したりデザインしたりするためには、そこで暮らす「人」を知ることも大切です。さらに大学の建築学科では、建築家の考えを知るために文章を読んだり、建築の歴史を学んだりすることもあります。そういったときに、文系の知識はとても役立ちますから、文理両方の知識が必要だと思います。


建築を学ぶことで得られる、観光や都市への新しい視点

――香月先生は、大学でどんな研究に取り組まれているのですか?
私たちはインターネットやテレビといった観光や都市生活の情報を発信するメディアを見て、「こんなところに行ってみたい、旅行したい」と考えます。つまり、現代社会で私たちが共有している都市や地域の文化・魅力は、こうしたメディアの集合体としてあらわれているといえます。そうした観点から、メディアに都市や地域がどのように紹介されているのかを分析することで、私たちが、街や建物のどのような要素から魅力を感じているかを研究しています。

――建築は「観光」や「都市」と深いかかわりがあると聞きましたが、どういった部分でつながっているのでしょうか?
観光や都市の体験には様々な魅力ある空間との出会いがあります。例えば、京都に旅行をすると、新幹線が到着してまず目に入る京都駅は、原広司さんという有名な建築家がデザインしたものですし、観光で訪れる様々な寺社仏閣や、趣のある京町家は、日本の建築の歴史を語るうえで欠かせない存在です。また逆の視点から見れば、観光客がたくさん訪れるということは、歴史的な風景を残す街づくりを下支えする経済活動にもつながります。あるいは、どこかの都市を訪れたりそこで暮らしたりするときに、公園やカフェなどの公共的な場所が、自然あふれる空間や歴史を感じられる魅力的な空間だったら、いっそう使いたくなりますよね。「映え」や「聖地」など、SNSに建物や街並みがとり上げられることも、人々が積極的に建築の魅力をとらえるひとつの現象とみなせるでしょう。
つまり、建築や都市の文化を考えていくうえで、観光という現象は、今や切っても切り離せない密接な関係にあるわけです。そういった意味でも、建築の学びは「観光」や「街づくり」と密接に関係しており、新しい視点を得ることに役立つと、私は考えています。

観光から考える、人と建築のより良い関係へのヒント

――これから、どんな研究をしていきたいとお考えですか?
日本では建築や都市の魅力(あるいは美しさ)と人々の生活の間に、少し距離ができているように感じています。そんななかで、建築や都市の美しさを「愉しむ」ことができる観光というアクティビティを通じて、離れてしまった両者の関係を引き戻すことができないかと考えています。今後はそうした取り組みの可能性や展望を、学生のみなさんと一緒に考えていきたいです。

――最後に、高校生に向けて応援メッセージをお願いします。
大学では専攻分野だけでなく、様々な学びや出会いが待っています。大学での専攻分野がそのまま将来につながる必要はなく、そこから興味のある方向に走ってゆく、ジャンプ台のようなものであってもいいと思います。私自身、大学の研究者になるとは高校生の頃は想像もしていませんでした。進路選びに迷っている皆さんは、まず何か興味のあることや好きなことから、大学を選んでみても良いと思います。

必要なのは好奇心! 東京工芸大学 工学部・建築学系 建築コースの魅力って?

東京工芸大学 工学部 建築学系 建築コースの最大の魅力は、「建築」「構造」「環境」の3分野のデザインをバランスよく習得しながら、学生一人ひとりの興味に応じた専門分野を学べる点です。少人数制の設計製図演習、一人一台の製図板、充実した実験設備に加え、教員と学生の距離も近いことから、非常に充実した学習環境で建築のプロをめざすことができます。
また、建築コースでは入学が決まった学生に対して、建築の知識を身につけられるミニ講義の動画配信、「建築マップ東京ミニ」の配布など、入学前からサポートを実施しています。入学後も、数学や物理を中心とした基礎科目を1年次に集中的に配置することで、建築に興味はあるけれど理系が苦手という学生でも、安心して学べるカリキュラムを展開しています。
さらに、卒業後は建築士以外にも、インテリアコーディネーター、都市計画プランナー、設備施工管理技士、建築施工管理技士などの職種で活躍が期待されます。主な就職先としては、清水建設株式会社、株式会社タカラレーベン、積水ハウス株式会社、株式会社成美、株式会社竹中工務店などの建設会社や住宅メーカー、設計事務所以外にも、国土交通省関東地方整備局など、公務員として都市計画や施工監理に携わっている卒業生もいます。

今回の記事をきっかけに東京工芸大学に興味をもった方は、下記のサイトに学びの特徴や受験情報が掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください!

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
    スマホアプリで
    学習管理をもっと便利に