「旅」と「観光」は同じじゃない!? 京都で学べる新しい観光文化学って何?

はじめに

「どんな旅にしよう?」「どこに観光に行く?」なんて会話をしますが、この時、「旅」と「観光」ってほぼ同じ意味で使っている人がほとんどだと思います。でも実は、「旅」と「観光」は似て非なるものなんです。



「旅」を「観光」へと広げたのは産業革命だった!

「旅」とは移動すること。有史以前から人類とともにありました。ある時は、食物を求めたり、災害や異民族から土地を追われての、命をつなぐための旅。またある時は、物を運んだり、技術や情報を入手したりと、ビジネスのための旅。長い間、旅は生きるために必要に迫られてするものでした。
そんな「旅」の長い歴史の中で「観光」という概念が生まれたのは近代に入ってから。tourism(ツーリズム=観光)という言葉の語源を辿ると、1811年発行のオックスフォード辞書に「楽しむための旅行」と記されています。背景にあるのは産業革命です。蒸気機関の発達によって鉄道や船などの移動手段が飛躍的に進化し、都市住民は休日を別の場所で過ごすことが可能になりました。旅は「生活上の必要」から「非日常を楽しむ娯楽」へと広がったのです。

未来を見すえた観光は、世界を平和に、地球を持続可能にする!?

「tourism(ツーリズム=観光)」が辞書に現れてから200年以上が経ちました。最初は富裕層や貴族の娯楽でしたが、現在では「今度の連休どうする?」と誰もが楽しんでいますよね。
しかし、大衆化したことで、世界の観光地では問題も起こってきました。貴重な文化遺産や自然環境が破壊される。観光産業で働く人が過重な労働を強いられる。観光地で暮らす人々への差別的なふるまい、逆に観光客への詐欺的行為が横行する……これでは観光をする側とされる側に大きな壁ができてしまいます。
この問題を解決するために、1999年に国連世界観光機関総会で採択されたのが「世界観光倫理憲章」です。全10条には「受け入れ地域の住民も観光客もお互いの生活習慣などを知り、尊敬し合える関わりを持とう」「文化や自然と出会い、世界の多様性を学び、持続可能な経済成長をめざそう」という内容の、めざすべき観光のあり方が謳われています。
観光は文化・歴史・環境・生活といった様々な要素を含んでいるので、観光する側・される側の双方が未来を見すえた交流をすることで、平和で寛容な世界を創り出すこともできるんです。

京都流観光文化創造の一環として観光文化学を学べる京都産業大学とは!

京都産業大学 文化学部京都文化学科では「観光文化コース」を設置しています。観光という事象を人々の交流・相互理解、更には新たな文化が創造される機会として捉え、京都の地に受け継がれてきた伝統や文化をいかに理解し活用しながら未来に残していくかを「観光」の視点から考え、考究することを目指します。
例えば、「一見(いちげん)さん、お断り」という言葉がありますね。これは、京都人がいけずで、外部の人を受け付けない排他的な慣習のように言われますが、本来はそうではありません。自分たちのコミュニティを大切にするために、新たな人をコミュニティに受け入れるための仕組みなんです。こうした文化は、インバウンド需要が回復している今、観光客をまるでコミュニティメンバーのように観光地に迎え入れる、訪れる人も受け入れる人もお互いを大切にする新しい観光の参考にならないでしょうか。

このように京都流観光文化創造の一環として観光文化学を学ぶため、観光と文化に関わる人との出会いや交流を重視したカリキュラムが特色です。老舗旅館の女将や華道・茶道の家元などをゲスト講師に学ぶ「おもてなし文化論」、自然環境の保全と観光振興の両立を学ぶ「エコツーリズム論」、伝統行事の運営、工房での実習、遺跡などでの実地踏査と座学を組み合わせた「京都文化フィールド演習」など、京都を生きた材料に文化を幅広く学びます。また、観光産業や交通産業に精通した研究者、そして京都の文化事象を多方面から追求している幅広い分野の専門家が教鞭をとります。
文化財・地域社会・伝統芸能・文学など、文化論をベースに観光文化学を学べるのは、京都でも京都産業大学だけ。4年間の学際的な学びによって、社会への視野も大きく広がりそうですね。

強くて柔軟な京都で、新しい価値を発見しよう!

今、世界はコロナ過を経験したことで転機を迎えているとも言われています。観光業の将来を危ぶむ声もありますが、世界観光倫理憲章がめざす世界平和・持続可能な社会は、まさにwithコロナ・afterコロナの社会がめざすところです。そして京都は、例えば東京への遷都後に日本最古の芸術大学を立て、伝統文化や工芸を支えるなど、数々の危機を乗り越えた歴史があります。新しい時代に対応できる人材を、教育によって育てる「文化」もまた京都らしさなのです。
世界から注目され、地域全体で若者を育てる京都だからこそ、それを取り込んだ京都産業大学だからこそ、学んだことは世界に通用するのです。
京都産業大学は、ワンキャンパスに10学部18学科が集結しています。多様な学びに取り組む仲間との交流が、京都で観光文化を学ぶ際にも新たな視点を与えてくれそうです。

京都産業大学 文化学部 京都文化学科 観光文化コース紹介Movie

京都産業大学の文化学部が進化します!

いかがでしたでしょうか。観光のあり方は時代の価値観によって変化すること、それが新たな文化や産業を創ることをご紹介してきました。あなたが京都の文化に興味があり、よくある観光「案内」的な学びでは満足できないなら、観光文化コースをチェックしてみてください。新たな観光文化を輝かせる価値観が、あなたから生み出されるかもしれません。
また、京都産業大学では2026年4⽉に文化学部を2学科から3学科に充実させます。京都という文化の息づく街でさらに深く、専門的に学べるチャンスが拡大していきます!気になる方は、是非一度キャンパスを訪れてみましょう!

この記事を書いた人
    【PR】Studyplus編集部
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