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三角関数の証明付き公式集!加法定理などを東大生が1から解説!

はじめに

数学2で登場する「三角関数」は多くの受験生を苦しめる単元です。
sin,cos,tanは数学1で見たことがあるという人も、それを使って計算せよ、とか方程式を解けと言われるとなかなか難しいのではないでしょうか。

一方で三角関数はセンター試験では必ず出題されますし、(しかも量、難易度共にレベルが高い!)明治大学や早稲田大学などの難関大でも出題頻度は高いです。

今回はその三角関数を「sinって何だっけ?」という定義から大学入試で使うすべての公式を解説します。

三角関数の定義

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まず、三角関数とは何か?その定義についてお話します。

三角形による三角関数の定義(数学1)

もしあなたが数学1の三角比を学んでいたとしたら、sin,cos,tanという記号を目にしたことはあると思います。
三角関数でのsin,cos,tanの定義に行く前に、まずは数学1での定義を見てみましょう。

数学1では「直角三角形の辺の長さの比」として三角関数が定義されます。

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上の図のように、1つの鋭角の大きさがθの三角形について考えます。
向かい合う頂点の文字を取って3辺の長さをa,b,cとしたとき

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とします。
これが数学1における三角関数の定義です。

どの辺がどの関数に対応しているかを覚えなければいけません。
お決まりの覚え方が筆記体のs,c,tの字に沿って三角形の辺をなぞるというものです。
下の図のように三角形の各辺をアルファベットの筆記体のようになぞったとき、sはsinといったように各頭文字の関数の分母→分子の順になっています。

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直角三角形の角度なので0<θ<90°の範囲に収まっています。
また辺a,b,cは直角三角形の辺なので三平方の定理より

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が成り立ちます。
右辺で左辺を割ることで

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が導けます。
これは三角関数の中でもとても重要な公式です。

単位円による三角関数の定義(数学2)

さて、数学1における三角関数は直角三角形によって定義されていたため、取れる範囲が0から90°に限定されていました。
これを不便だと感じた人が、範囲を限定されずに三角関数を使う方法を編み出したのが単位円(半径1の円)による三角関数の定義です。

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単位円上の点A(x,y)に対して、角AOO'をθとして

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とします。
このように単位円上の点について考えたことによって、
0<θ<90°に限定されないであらゆる角度について三角関数を考えることができるようになりました。

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θ=60°のとき、図より

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0°<θ<90°の範囲を超えたときについても図を見てみましょう。

θ=135°のとき、図より

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となります。
点Aが第二象限にあるような角度θのときは
sinθ→正
cosθ→負
tanθ→負
となることがわかります。

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θ=210°のとき
見方を変えればθ=-150°,θ=570°ともいえます。

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点Aが第三象限にあるような角度θのときは
sinθ→負
cosθ→負
tanθ→正
となります。
図形を見るとわかるように、θの大きさに応じてそれぞれの三角関数が正の値、負の値どちらになるかがわかります。
それをまとめたのが次の図です。

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三角関数の公式

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さて、定義の次は、大学受験に出てくる三角関数の公式全てを証明と解説付きで紹介します。
「加法定理」に始まり2倍角の公式、積和の公式など多くの公式が出てくるのが三角関数の厄介なポイントですが、公式の形と、どういった時に使うのかを自分の中で整理しておくことで、公式を効果的に使い分けることが大切です。

公式は覚えなければいけないの?

これから、三角関数についての公式とその証明を見ていきます。見ていくとわかりますが、かなり多くの公式があります。
そのため全部を暗記しようとなると大変です。
公式にも優先順位があります。何より大切なのは最初に紹介する等式と加法定理です。

証明を見るとわかると思いますが、積和・和積の公式や半角・3倍角の公式は加法定理に簡単な変形をするだけで導くことができる公式です。
また積和和積や3倍角ともなるとその形は複雑で丸暗記するのは骨が折れます。しかしそれほど出現する頻度が高い公式ではありません。
これら応用度の高い公式が活躍するのは数学3の積分分野です。
そこで私は
「数学2を勉強しているときは無理に覚える必要はない。数学3をやる人は数学3の積分計算をしっかり勉強すれば自然と覚える。」
と考えます。

数学3を勉強しない人は頑張ってこれらの公式を暗記する必要はありませんし、数学3を受験で使う人は数学3の問題演習を通じて覚えてしまえばそれでいいのです。
ただ、「加法定理を変形するとこういった公式が作れる」ということはしっかりと理解しておきましょう。

三角比の2つの公式:正弦定理と余弦定理

三角関数の公式として、センター試験等でもよく見る有名なものが「正弦定理」と「余弦定理」です。
三角形の辺の長さと角度の関係についてのこれらの公式をしっかりと使いこなせるようになると、センター数学1Aの図形問題でとても役立ちます。
別の記事に詳しくまとめたので、ぜひ参照してください!

正弦定理とは?公式や余弦定理との使い分け、センター過去問等解説!

余弦定理とは?公式の使い方&証明を解説!センター過去問の解説付き

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三角関数で最も使う3つの等式

単位円上の点A(x,y)は

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を満たします。
x=cosθ,y=sinθ
という定義を代入すると

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が成り立ちます。
また、この式を変形して以下の2つの式を導くことが出来ます。

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上の式は移項すればすぐ出てきます。
下の式は、cosθ≠0の時に両辺をcos^2θで割ることで導けます。
これらの式はθの値によらず成り立つ式で、三角関数を含んだ関数の大小を考えるときや数学3で習う三角関数の微積分等でも使います。

三角関数の最重要公式:加法定理

この先登場する二倍角の公式や半角の公式など様々な公式が登場しますが、その全ての基本となっているのが三角関数の加法定理です。
式で表すと

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です。
咲いたコスモス コスモス咲いた
という有名な語呂合わせで覚えている人も多いかもしれません。この加法定理はこれから公式を証明するのに何かと使うので、完璧に覚えておくことが望まれます。

証明

加法定理自体の証明はなかなか厄介です。実は、過去に東京大学で「加法定理を証明せよ」という問題が出題されたことがあるくらい、本質的な理解が求められる証明になります。

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上の図を見てください。
これは2つの点B(cosβ,sinβ)とC(cosα,sinα)を1つの単位円上に表したものになります。
「この図を書けるかどうか」が加法定理の証明の鍵です。
図で赤くなっている線BCの長さを2つの方法で表してみます。
1つは点Bと点Cの2点間の距離の公式を用いる方法です。

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また、OB、OCの長さが1で、角BOCの大きさはα-βなので、数学1の三角比で習った余弦定理を用いることでもCBを表すことができます。

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CBの2乗を二通りの形で表現することができました。これらを等号で結ぶと加法定理の式が1つ求められます。

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加法定理の式が1つ求められれば、βを-βに変えたり、sinとcosの変換を用いることで残りの式を求めることができます。

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三角関数の合成

三角関数の合成は、一つの式に登場したsinθとcosθをあるαを用いてsin(θ+α)に一まとめにできるという公式になります。
具体的な形は以下の式のようになっています。

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係数aとbによってαとrという2つの数が定められますが、その関係は以下の図形のように捉えるとわかりやすいです。

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sinθの係数aをx座標にcosθの係数bをy座標に持った点をおいて、直角三角形を作ります。
そうして出て来る角度がα、斜辺の長さがrになります。

三角関数の合成をすることの意義は、sinθとcosθという2つの関数が含まれていた式をsin(θ+α)という一つの関数にまとめることにあります。
そうすると、「グラフが書きやすくなる」、「ある範囲の中での最大値、最小値がわかりやすくなる」といったメリットが有ります。
sinとcos両方含む関数の最大最小を求めなさいという問題が出た時は、「どうにかして合成できないかなあ」と考えながら式を変形するとうまくいくことがあります。

証明

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となるようにαをおきます。
この両辺にrを掛けると

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が得られます。
これを a sin θ + b cosθ に代入すると

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となります。
これは「aとbを用いてこのようにrとαを定めると必ず上記のような式変形ができる」ということを意味しています。

2倍角の公式

2倍角の公式は以下の3つです。
加法定理から派生する三角関数の公式の中でも最もよく使うものです。
三角関数の計算の過程で頻出です。
出てくる機会が多いので問題演習を通じて暗記してしまうのが良いでしょう。

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証明

加法定理にβ=αを代入することで,α+β=α+α=2αとなり、2倍角の公式が求められます。

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半角の公式

cosの2倍角の公式のα→α/2に変形することで、半角の公式を導くことができます。

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この公式は15°など通常では求められないような角度の三角関数の値が求める他、
「三角関数の次数を1次下げる」ことに使われます。

(参考)半角の公式の覚え方&使い方を解説!大学入試でよく見る形を解説

3倍角の公式

3倍角の公式は以下のような形になっています。
2倍角の公式が加法定理のβをαに変えて導かれたということは、勘の良い人は加法定理のβを2αに変えると3倍角の公式が導けそうだということに気付かれたかもしれません。

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証明

先程も書いたとおり、2倍角の定理でβ=αとしたのと同じ要領でβ=2αとすると3αが作れます。
あとは加法定理や2倍角の定理などを使いながら、右辺をsinα、またはcosαだけで表すことを目標に式変形していきましょう。

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和積・積和の公式

次に紹介する公式が和積・積和の公式というものです。
これは三角関数の和で表された式を積の形に、積で表された式を和の形に変換する式です。

まず積和の公式を紹介します。

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次に和積の公式です。

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証明

積和の公式は加法定理から導くことができます。

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これら加法定理の4つの式を上から①、②、③、④とします。
積和の公式と加法定理を見比べてみましょう。
積和の公式の左辺に当たる積が、それぞれ加法定理の内2つの式に出てくることがわかると思います。
そこで、欲しい積を含む加法定理の式を足し引きして、もう一つの積を消すことによって積和の公式が導けるのです。
sinαcosβは①+②÷2
cosαsinβは①-②÷2
cosαcosβは③+④÷2
sinαsinβは-(③-④)÷2
という計算で導くことができます。

和積の公式は積和の公式から導くことができます。

文字A,Bを次のように置きます。

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するとα,βはAとBを使ってこう表せます。

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これらを和積の公式に代入して、両辺を2倍すると積和の公式が得られます。
つまり、積和の公式は「和積の公式の文字の置き方を変えただけに過ぎない」のです。

「加法定理から和積、和積から積和が導かれる」という流れを確実に押さえておきましょう。

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最後に

三角関数をはじめて勉強する人はその公式の多さに驚いてしまうと思います。
私も高校生の頃、三角関数の授業を受けているとき「急に授業のスピードが上がった」と感じたことを覚えています。今振り返ればそれは出てくる公式を全て完璧に暗記、暗誦しようと思っていたからなのだと思います。
なんとなく「公式⇒暗記」と思ってしまいがちですが、三角関数の勉強をするときに大切なのは公式の導き方をしっかりとわかっていること、忘れたとしても公式を自分で作れることです。

今回三角関数の単元に現れる公式をすべて導き方から解説しました。
どういった「方針で公式を作るのか」ということをしっかりと頭に入れれば三角関数は必ず解けるようになります。
センター数学などでも大切な単元なので、この機会に得意にしてしまいましょう!

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この記事を書いた人
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現役で東京大学理科2類に合格しました。いまは教養学部後期課程の4年生です。 得意科目は数学と化学、物理で、理系科目を中心に執筆していますので参考にしていただけると嬉しいです。 最近クロスバイクにハマりました。

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